置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
「唐揚げ美味しい!食べてみてよ。サクサク」
「あちっ。本当だな。揚げたてなのもあって美味いな。ビールが進むわ」
「本当だね」
私たちはテーブルに並ぶ料理を写真に収めながら食べ進める。
しばらくすると小さな舞台に人が上がってきてライブが始まるようだ。
『オジー自慢のオリオンビール』を三線の音にのり歌い始めた。
いきなり始まったにも関わらず店内のテンションはすぐに上がりみんなでオリオンビールの乾杯が始まった。
隣の席の人にも乾杯を求められガラスを合わせた。
女の子たちのグループはここぞとばかりに加賀美くんのところに乾杯しにやってきた。
みんな私が目に入らないのかしら。よく隣に女の人がいる男性のところにこれるわ。それだけ私は彼女に見えないってことなんだろうな。ま、本当に彼女でもなくただの同僚なんだけどね。
知らない人同士でこうして乾杯し合えるのもこの土地柄もあるのかな。
私は隣の席の男性や他の人とも数人とグラスを合わせた。
沖縄民謡や島唄などの曲を聴いたりエイサーを見れたりと盛りだくさんでとても楽しい。
盛り上がりすぎて隣の人の声が聞こえづらい。
隣にいた男性が声をかけてきたが何を言ってるのかわからずその男性に耳を近づけた。
男性は「東京からですか?よければいっぱい奢らせてください」と声をかけてきたようだ。
私は隣の男性の耳元に話しかけた。
「ありがとうございます。でももうお腹いっぱいなので大丈夫です」
そう伝えると男性は笑って頷き話は終わった。
ふと隣を見ると加賀美くんがなんだか怖い顔をしていた。
「どうしたの?」
声をかけるが聞こえないのか顔を背けられた。
なんなんだろう。
さっきまで店の雰囲気に釣られとても楽しかったのに一気にテンションが下がってしまった。
そうこうしている間にライブは終わり私たちも食事が済んだこともありお店を出た。
隣の男性に会釈をし店を出ると無言になっていた加賀美くんに急に話しかけられた。
「槇村、あいつに何声かけられたの?」
「あいつ?」
「隣の男だよ」
「あぁ、よかったら一杯奢らせてって言われたからお断りしたの」
「何誘われてんだよ」
「誘われてなんかないよ」
「お前にはわからなかったのかよ。隣に男がいるのに話しかけてくる奴の気がしれないな」
「だから誘われてなんかないって。それに加賀美くんも女の子たちが近寄ってきてたじゃない。同じでしょ?」
「俺のとこはノリで乾杯してきただけだろ」
「私だって同じじゃない。なんでそんなに言われなきゃならないの。空気悪くなったじゃん」
「それはお前がわかってないからだろ」
「だからそんなんじゃなかったって言ってるじゃん」
「ちゃんと気をつけろよ!」
「だから違うって言ってる。しつこい。もういいよ。おやすみ」
私は加賀美くんを振り切るように早歩きでその場を離れた。
「おい、待てよ。女1人じゃ危ないだろ」
私は加賀美くんの声が聞こえているけれど待つことなくどんどん進んでいく。
「待てって」
追いかけてきた加賀美くんに左の手首を掴まれた。
「痛い!離してよ」
「ごめん。だから待てって。危ないから一緒にホテルに戻ろう」
掴まれた手を離してくれ、隣に並び無言のままホテルへと戻った。
隣同士の部屋のためエレベーターで5階まで一緒に上がるがお互い話す言葉が見つからず無言が続く。
部屋の前まで来てやっと話した言葉が「おやすみ」だった。
「あちっ。本当だな。揚げたてなのもあって美味いな。ビールが進むわ」
「本当だね」
私たちはテーブルに並ぶ料理を写真に収めながら食べ進める。
しばらくすると小さな舞台に人が上がってきてライブが始まるようだ。
『オジー自慢のオリオンビール』を三線の音にのり歌い始めた。
いきなり始まったにも関わらず店内のテンションはすぐに上がりみんなでオリオンビールの乾杯が始まった。
隣の席の人にも乾杯を求められガラスを合わせた。
女の子たちのグループはここぞとばかりに加賀美くんのところに乾杯しにやってきた。
みんな私が目に入らないのかしら。よく隣に女の人がいる男性のところにこれるわ。それだけ私は彼女に見えないってことなんだろうな。ま、本当に彼女でもなくただの同僚なんだけどね。
知らない人同士でこうして乾杯し合えるのもこの土地柄もあるのかな。
私は隣の席の男性や他の人とも数人とグラスを合わせた。
沖縄民謡や島唄などの曲を聴いたりエイサーを見れたりと盛りだくさんでとても楽しい。
盛り上がりすぎて隣の人の声が聞こえづらい。
隣にいた男性が声をかけてきたが何を言ってるのかわからずその男性に耳を近づけた。
男性は「東京からですか?よければいっぱい奢らせてください」と声をかけてきたようだ。
私は隣の男性の耳元に話しかけた。
「ありがとうございます。でももうお腹いっぱいなので大丈夫です」
そう伝えると男性は笑って頷き話は終わった。
ふと隣を見ると加賀美くんがなんだか怖い顔をしていた。
「どうしたの?」
声をかけるが聞こえないのか顔を背けられた。
なんなんだろう。
さっきまで店の雰囲気に釣られとても楽しかったのに一気にテンションが下がってしまった。
そうこうしている間にライブは終わり私たちも食事が済んだこともありお店を出た。
隣の男性に会釈をし店を出ると無言になっていた加賀美くんに急に話しかけられた。
「槇村、あいつに何声かけられたの?」
「あいつ?」
「隣の男だよ」
「あぁ、よかったら一杯奢らせてって言われたからお断りしたの」
「何誘われてんだよ」
「誘われてなんかないよ」
「お前にはわからなかったのかよ。隣に男がいるのに話しかけてくる奴の気がしれないな」
「だから誘われてなんかないって。それに加賀美くんも女の子たちが近寄ってきてたじゃない。同じでしょ?」
「俺のとこはノリで乾杯してきただけだろ」
「私だって同じじゃない。なんでそんなに言われなきゃならないの。空気悪くなったじゃん」
「それはお前がわかってないからだろ」
「だからそんなんじゃなかったって言ってるじゃん」
「ちゃんと気をつけろよ!」
「だから違うって言ってる。しつこい。もういいよ。おやすみ」
私は加賀美くんを振り切るように早歩きでその場を離れた。
「おい、待てよ。女1人じゃ危ないだろ」
私は加賀美くんの声が聞こえているけれど待つことなくどんどん進んでいく。
「待てって」
追いかけてきた加賀美くんに左の手首を掴まれた。
「痛い!離してよ」
「ごめん。だから待てって。危ないから一緒にホテルに戻ろう」
掴まれた手を離してくれ、隣に並び無言のままホテルへと戻った。
隣同士の部屋のためエレベーターで5階まで一緒に上がるがお互い話す言葉が見つからず無言が続く。
部屋の前まで来てやっと話した言葉が「おやすみ」だった。