置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
私たちは竹富島から戻り午後はマングローブを見るためカヌーの予約をした。
事前に予約していなかったにも関わらず電話をすると快く受け入れてくれた。
現地に赴くとスタッフがフレンドリーに話しかけてきた。
「付き合って長いの?いいねぇ。夏休みに沖縄旅行なんてさ」
「アハハ。そうですね。知り合ってからは8年くらいですかね」
「長いじゃないの。ならもう結婚も考えてるのかな。うらやましいねぇ」
「アハハ……どうでしょうか」
「お兄さん、ちゃんとしなきゃダメだよ」
「そこんところはまぁ考えてますから。さぁ、行きましょう」
加賀美くんが話を終わらせようと声をかけるが、
「照れちゃって。お兄さんイケメンだからお姉さんも仕留めるのが大変だったでしょう」
私にまた話を振ってきた。
このおじちゃんたちは悪い人ではないけど私たちをカップルだと思っているから根掘り葉掘り聞いてくる。
私は苦笑いしながら「想像にまかせます」と話を流した。
カヌーのレクチャーを受け、私が前に座り、後ろに加賀美くんが座った。
なかなか息が合わず前に進まない。ともすると横向きになって他の変な方向へ向かってしまう。
あっちだ、こっちだ、と笑いながらマングローブへと進んでいった。
ヒルギの群生地に入り、テレビで見るような風景に目を奪われた。木陰になり風は涼しく、周りを見渡すと何か動き回っている。
「あれなんですか?」
「トントンミーだよ」
「可愛いですね」
「他にも生き物がたくさんいるよ。それにほら、あれ見えるかい?」
指差す方を見るとおもちゃのように大きな貝が見えた。
「あれはしじみだよ」
私の知ってるしじみは出汁になるような小さいもの。手のひらいっぱいの大きなものなんて見たこともない。
驚いているとおじちゃんは次々にマングローブに生息する生き物の説明を始めた。
すごい。
本州で見かけないようなものや珍しい生き物がたくさん。
私は加賀美くんの顔を見ると頷いている。
暗黙の了解だった。
そうだよね。これ企画にしたいよね。
私はなんだかウキウキと楽しくなってきた。
今日1日でいくつもアイデアが浮かんできた。
「今日は特別にパワースポットを回るかい?まだ時間があるなら滝に行くか?」
「行きたいです!」
おじちゃんは笑いながらマングローブを抜けるとカヌーから降り歩き始めた。
足場は滑りやすく、時折転びそうになると後ろから加賀美くんに支えられてた。加賀美くんの力強い手にまたドキッとした。
しばらくうっそうとしたマングローブの中を進むと夕日の差し込む場所がみえた。
そこだけ頭上が抜けており空が見える。
近づいてみると岩の間から滝が流れているのが見えてきた。
滝をこんな間近でみたのは初めてだった。
正面に滝を見据え、背中からは動物の音が聞こえている。
マイナスイオンを感じることができ、パワースポットと呼ばれる所以が分かる気がした。
この場所に来れてよかったと思わせてくれるほどの自然の力強さを感じた。
「加賀美くん、凄いね……」
私はそれしか言えなかった。
うまく言葉では表現できなかった。
「あぁ、本当に。ここに来れてよかったな」
私たちがお互いに目を合わせていたところでおじちゃんは声をかけてきた。
「早速御利益があったかな。ここは縁結びのパワースポットなんだよ」
おじちゃん……
いいから。
もう放っておいてください。
私がなんだか恥ずかしくなっていると加賀美くんはさらりと「そうですね」なんて切り返している。
さすが加賀美くん。
女の人だけでなくおじちゃんの扱いまでお手のものだ。
人たらしというのかもしれない。
おじちゃんと2人で話している姿を見入ってしまった。
事前に予約していなかったにも関わらず電話をすると快く受け入れてくれた。
現地に赴くとスタッフがフレンドリーに話しかけてきた。
「付き合って長いの?いいねぇ。夏休みに沖縄旅行なんてさ」
「アハハ。そうですね。知り合ってからは8年くらいですかね」
「長いじゃないの。ならもう結婚も考えてるのかな。うらやましいねぇ」
「アハハ……どうでしょうか」
「お兄さん、ちゃんとしなきゃダメだよ」
「そこんところはまぁ考えてますから。さぁ、行きましょう」
加賀美くんが話を終わらせようと声をかけるが、
「照れちゃって。お兄さんイケメンだからお姉さんも仕留めるのが大変だったでしょう」
私にまた話を振ってきた。
このおじちゃんたちは悪い人ではないけど私たちをカップルだと思っているから根掘り葉掘り聞いてくる。
私は苦笑いしながら「想像にまかせます」と話を流した。
カヌーのレクチャーを受け、私が前に座り、後ろに加賀美くんが座った。
なかなか息が合わず前に進まない。ともすると横向きになって他の変な方向へ向かってしまう。
あっちだ、こっちだ、と笑いながらマングローブへと進んでいった。
ヒルギの群生地に入り、テレビで見るような風景に目を奪われた。木陰になり風は涼しく、周りを見渡すと何か動き回っている。
「あれなんですか?」
「トントンミーだよ」
「可愛いですね」
「他にも生き物がたくさんいるよ。それにほら、あれ見えるかい?」
指差す方を見るとおもちゃのように大きな貝が見えた。
「あれはしじみだよ」
私の知ってるしじみは出汁になるような小さいもの。手のひらいっぱいの大きなものなんて見たこともない。
驚いているとおじちゃんは次々にマングローブに生息する生き物の説明を始めた。
すごい。
本州で見かけないようなものや珍しい生き物がたくさん。
私は加賀美くんの顔を見ると頷いている。
暗黙の了解だった。
そうだよね。これ企画にしたいよね。
私はなんだかウキウキと楽しくなってきた。
今日1日でいくつもアイデアが浮かんできた。
「今日は特別にパワースポットを回るかい?まだ時間があるなら滝に行くか?」
「行きたいです!」
おじちゃんは笑いながらマングローブを抜けるとカヌーから降り歩き始めた。
足場は滑りやすく、時折転びそうになると後ろから加賀美くんに支えられてた。加賀美くんの力強い手にまたドキッとした。
しばらくうっそうとしたマングローブの中を進むと夕日の差し込む場所がみえた。
そこだけ頭上が抜けており空が見える。
近づいてみると岩の間から滝が流れているのが見えてきた。
滝をこんな間近でみたのは初めてだった。
正面に滝を見据え、背中からは動物の音が聞こえている。
マイナスイオンを感じることができ、パワースポットと呼ばれる所以が分かる気がした。
この場所に来れてよかったと思わせてくれるほどの自然の力強さを感じた。
「加賀美くん、凄いね……」
私はそれしか言えなかった。
うまく言葉では表現できなかった。
「あぁ、本当に。ここに来れてよかったな」
私たちがお互いに目を合わせていたところでおじちゃんは声をかけてきた。
「早速御利益があったかな。ここは縁結びのパワースポットなんだよ」
おじちゃん……
いいから。
もう放っておいてください。
私がなんだか恥ずかしくなっていると加賀美くんはさらりと「そうですね」なんて切り返している。
さすが加賀美くん。
女の人だけでなくおじちゃんの扱いまでお手のものだ。
人たらしというのかもしれない。
おじちゃんと2人で話している姿を見入ってしまった。