置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
「梨花ちゃん、泣かなくていいよ。大丈夫だから。さ、ご飯食べて力を出そう。明日もう一度謝ろう。頑張ろうよ。このプロジェクトは凄いよ、沖縄一のホテルにしようよ」

ティッシュを渡したあと、菓子パンとスパムおにぎりを渡した。
どちらもソウルフードで東京には並ばないもの。菓子パンは見かけないものが多くパッケージが可愛くてぐるぐるパンというネーミングもあり購入してみた。
梨花ちゃんは涙を止め、目を真っ赤にしながら食べ始めてくれた。
私もつまみを食べながら話をした。

「加賀美くんのこと、そんなに好きなの?」

「はい。見た目はもちろん完璧ですが、声も最高です。人には当たり障りなく仕事をしていますが自分にはとてもストイックですよね。周りには良い人と見られていますが実は違うところがあるというか。槇村さんと話してるのを見ると熱い人だなとも思います。私には外面のいいところしか見せてもらえないんですけどね」

「私には外面で接して欲しいんだけど。同期なのに部長に出す前にチェックされるんだよ。おかしくない?」

「羨ましかったです。本音で話せる関係に私もなりたかったです」

「そんなことないよ。私は優しくして欲しいよ。いつもダメ出しされて打倒加賀美と思ってやってきたんだから」

「ふふ、槇村さんって面白い。なんだかやっと槇村さんに近付けた気がします。もう何年も一緒に働いてるのに」

「そうだね。私も加賀美くんばかり特別にしてる梨花ちゃんを可愛くないと思ってたからね、正直さ。だから大介くんに仕事を振ることも多かったし」

「でも私は加賀美さんとぶつかれる槇村さんを羨んでましたけどね」

「そういうものかな」

「そうです。さらにここ最近はとっても甘やかされているじゃないですか。槇村さんを守っているのが目に見えます。だから私も焦りました」

やっぱり人から見ても少し加賀美くんは私に甘いのかな。
いつもそばにいてくれると感じてはいたけど。
でもそれは悠介にあんな振られ方をしたからだ。同情だと思う。
同情ではないと思いたい気持ちはあるけれどもうこれ以上傷つきたくない。
誰も好きになりたくない。

結局真夜中まで2人でビール片手に話し込んでしまい、私は梨花ちゃんの部屋で寝てしまった。

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