置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
普段から1人での食事は慣れているはずなのに周りが家族やカップルのためあまり居心地が良くなさそう。ホテルでゆっくりと思っていたがどうしようかと悩んでいた。

こういう私みたいな人もいるなら何かかんがえてもいいのかも、そう思っていたら大介くんから電話が来た。

「槇村さん、いまどこですか?」

「え?ホテルに戻ったところ。なにかあった?」

「ホテルのどこですか?」

「駐車場だけど」

「そうですか。槇村さんは1人で寂しくないですか?ご飯とかどうするんですか?」

「そうなんだよね。ここで週末をゆっくりしようと思ったけど家族やカップルが多くて悩んでいたところなの。お一人様慣れてるけど観光シーズンだからなんとなく居心地悪くてさ」

「良かった。余裕だったらちょっとさみしかったんで」

「ん?どういうこと?」

「それはですねー、じゃん!こういうことです」

コンコン。
車をノックする音が聞こえた。
スマホを耳に当てたまま振り返ると大介くんがいた。

「えぇ?!大介くん?」

スマホを切ると車から降りた。

「槇村さん、一緒にご飯食べようと思って飛んできました」

私は驚きすぎて声が出なかった。
ここ、石垣島だよ。

「槇村さん!飛んできましたよ。ププ、本当に飛んでくるってこういうことですよね。沖縄経由できたからちょっと時間が遅くなったけど夕飯に間に合って良かった」

「だ、大介くん?驚きすぎて何が何だか。どうしたの?」

「槇村さんがきっと寂しくなってるんじゃないかと思って駆けつけました。下心なしです。でも夕飯は一緒に食べましょうよ」

「驚いたよ〜本当に驚いた。でも正直、一緒に夕飯食べてくれるなんて嬉しい。この時期に観光地は来ちゃダメだね」

「もう冬休みに入ってますからね。そんなことだと思いました。俺は1人で旅行に行く時は寂れたところに行ってますよ。観光シーズンじゃない時に観光地に行きます」

「旅慣れてるって感じだね。夕飯食べにここまで来てくれるフットワークも凄いよ」

「それは槇村さんのためだから飛んできたんですよ」

私は俯いて返答に困ってしまった。
大介くんのことはもちろん好き。
でも恋愛としてはやっぱり考えられない気がする。
こんなことしてくれてもちろんドキドキする。大介くんの見る目を変えてもいいのかもしれないとさえ思ってきた。
姉弟のように思ってきたけど、私のことをこんなに考えてくれるなんて女として嬉しいと言わざるを得ない。
態度で示してくれる大介くんに惹かれない訳がない。

俯いたままでいる私に大介くんは優しく声をかけてくれる。

「さ、槇村さん。美味しいもの食べに行きましょうよ。実はお店を見つけて予約しちゃったんです。沖縄の創作料理ですよ。お酒飲めるようにタクシーにしませんか」

「うん。予約までしてくれたの?ありがとう」

「俺1人ならあのうどん屋みたいに飛び込んでいくんですけどね」

「あのお店美味しかったもんね」

「穴場探すのが好きなんですよ。でも今日は槇村さんと行けたらいいなと思ったから探してみました。当たりだといいんですけどね」

ホテルのフロントでタクシーを頼みお店に向かった。
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