置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
大介くんの見つけてくれたお店はガラス張りで海に面しておりよく見える。夜暗くなっているが灯台の光が差し時折見える海面がなんとも言えない光景だ。
2人掛けのソファで海を見ながら料理を楽しめるお店で石垣島牛やアグー豚、現地のシーフードをコースでいただいた。
どれも薄味だけど出汁が聞いていてあっさりとしている。私たちはお酒もすすみ3時間もここでゆっくり食事をした。
大介くんは仕事の話はせず、今までの旅行の話や最近あったことや気になることなど話題豊富で聞いているだけでとても楽しい。かと言って人の話を聞かないわけではなく私の話をよく聞いてくれる。
久しぶりに家族でない誰かとゆっくり笑いながら話した気がした。
この前から大介くんには色々な面で助けられている。
特に精神的に大介くんのおかげで強くなれたと思う。
隠れてばかりの私に勇気を出すように背中を押してくれたのも、裏切らないから大丈夫だよって言ってくれたのも大介くん。
私の心が分かるかのように今日も夕飯を食べるためにここに来てくれた。私が寂しいだろうからって。

そんなこと悠介だってしてくれなかった。

こんなことされて揺れ動かない女はいないんじゃないかな。

私は大介くんのことでいっぱいになった。

大介くんはビジネスホテルに予約を取っており私をホテルに送り届けた後、自分のホテルへと帰って行った。

部屋へ戻るとベッドへ倒れ込み、天井を見ながら大介くんのことに思い悩んだ。
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