妄想ファンタスティック
彼女のご機嫌
「お月見やろうよ。」
と久々に二人夜に顔を合わせそうなので出勤前の朝に約束したはずが、今夜もすっかり遅くなってしまった。
手土産のビニール袋をグワングワン揺らし慌てて階段を駆け上がり玄関のドアを開けた。リクライニングに凭れ入浴後なのか濡れた髪を垂らしてスーっと軽く寝息を立てて眠っているよう。
夜空を見上げれば三日月。
気が付いて眼を開けると眠気眼(マナコ)ながらも少し睨むようにしてハイ、と手元にあったビールを投げ付けてきた。プシュと缶を開けて乾杯を。ビニール袋の中のビールをそっと隠すようにして。
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