嘘は溺愛のはじまり

「俺が選んでも意味ないだろう?」

「だって、修吾より伊吹の方がセンス良いんだもの。だから、伊吹に選んで欲しいな。いいでしょ? お願い」


修吾と言うのは、俺と理奈の幼馴染みで、理奈の婚約者だ。

三ヶ月ほど前からアメリカに長期出張に行っていて、帰国は結婚式ギリギリになりそうだと言う。

結婚式の準備を手伝ってやって欲しい、とは言われたが、まさか理奈のドレスを選ぶことまで丸投げしてくるとは思いもしなかった。


理奈はウェディングドレスのカタログをこちらに向けて、「一生に一度のお願いだから」と迫ってくる。

ついでに修吾のタキシードも選ばなくてはいけないらしい。

若干うんざりしながらも、ドレスのカタログをパラパラとめくる。


「…………ドレスなら、これが良い」


指さす俺に、理奈は盛大に嫌そうな顔をした。


「……ねえ、それって、私に似合うと思う?」

「……」

「そうよねぇ? 絶対、結麻ちゃんに似合うヤツ選んだでしょ!?」


だって仕方がない。俺の頭の中は、いつでも彼女のことでいっぱいなのだから。


この時の理奈とのやりとりを結麻さんに見られていただなんて、思いもしなかった――。
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