嘘は溺愛のはじまり

奥瀬さんは、はぁ、とため息を吐いて、「高3の時、一応同じクラスだったんだけどな」と呟いた。


「え……、ええ?」


コウサン、高3、高校三年生……?

高校の同級生……、おくせくん、オクセクン、奥瀬くん…………?


「…………あ、」

「……思い出した?」

「い……、いいんちょう……」

「はは、それだ」

「えええっ、」




高校三年生――。

あの頃の私は、確かに、守られていた……。

みんなに守られなければ、私は……。

だから………………



「思い出してもらったところであれなんだけど。住所の件、聞いて良い?」


……あぁ、そうだった、クラス委員長の奥瀬くんと言えば、確かに記憶力は抜群だった。

クラス委員長を任されるぐらいの人望と明晰な頭脳を合わせ持った人物だったことを、すっかりと思い出してしまった。


どうしよう……。

人事部にいれば、役員の住所を目にする機会はゼロと言うわけではないだろう。

プライバシー保護とかコンプライアンスなんてものが厳しい昨今では、個人情報を目撃する機会は減っているとは思うけど、部署が部署だけに、皆無というわけではないだろう。


「同じ住所ってことは、一緒に住んでるってこと?」

「……えっと、…………」

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