嘘は溺愛のはじまり
「冷めちゃうから、食べて食べて。後で感想聞かせてくれると嬉しい」
「あ、はい。いただきます」
楓さんの作ってくれたお料理はどれもとても美味しくて、腹ぺこだった私はあっという間にペロリと平らげてしまった。
ランチタイムに出すプレートの試作とのことだけど、このままランチに出しても何の問題も無さそうだ。
むしろ、こんなに美味しいランチを食べられるなら、毎日ランチタイムにこのお店に来たいぐらい。
その感想をそのまま伝えると、楓さんはとても喜んでくれた。
「会社抜け出しておいでよ~」
「こらこら楓くん。そんな悪い勧誘しちゃだめです」
「あはは、冗談ですってば」
「それより楓くん、結麻さんをちゃんと送ってあげて下さいよ?」
「はいはい、それは任せて」
「結麻さん、今日は来て下さってありがとう。また伊吹くんの夕飯が要らない時は寄ってくれると嬉しいです。事前にメッセージくれたら、食べるものも用意しておきますから」
マスターのありがたすぎる申し出に私は何度も何度もお礼を述べて、お店を後にした――。