猫目先輩の甘い眼差し


「先輩は今日1人だったんですか?」

「うん。雷夜と朝日さんも誘ったんだけど、『電車が止まると困るから』って断られちゃった」



学校を後にして横断歩道を渡る。


どんよりした天気の中、図書室でポツンと1人で勉強。

私は平気だけど、友達大好きな先輩にとっては寂しいんだろうな。口に出さずとも、横顔にそう書いてあるから。



「市瀬さん、最近髪結んでるよね。伸ばしてるの?」

「いえ。広がってたのでまとめただけです。伸ばしたいんですけど、切ろうかなって悩んでるんですよ」



梅雨が始まった今月から、毎日後ろで1つに結んでいる。


本当は胸下まで伸ばしてみたいんだけど、毎年心が折れてしまって、この時期に切りがち。

シャンプーとかドライヤーとか大変だし。
夏場は暑くてなかなか下ろせないし。

今年も肩までバッサリ切ろうかな。



「先輩は普段、どんなお手入れしてるんですか?」



トラックが横を駆け抜けて、サラサラの黒髪が揺れた瞬間、ふと尋ねてみた。



「俺の? 気になるの?」

「はい。先輩の髪、いつもサラサラなので」
< 131 / 312 >

この作品をシェア

pagetop