猫目先輩の甘い眼差し


長椅子に腰かけ、店員さんから子犬を受け取った一ノ瀬先輩。

気になった子を抱っこできるとのことで、連れてきてもらったのだ。



「市瀬さんはいいの?」

「はい。お目当ての子が寝てたので」



私も柴犬くんを抱っこしたかったけど、お昼寝し始めたため断念。

さっきのアメショーちゃんも、ウトウトしていたので諦めた。

帰ったらやきもち妬かれそうだしね。



「全然こっち向いてくれないなぁ」



優しく撫でられている姿を隣で見ていると、先輩の大きな手が子犬を包み込んだ。

そ、その抱き方は……っ!



「ダメです先輩っ! それじゃ腰痛めちゃいます!」

「えっ?」



顔を合わせるように抱き上げた彼に指摘し、子犬を奪い取って抱え直す。

縦ではなく横に。上半身だけじゃなく下半身も支えて。

と、事細かく説明した。



「こ、こう……?」

「そうです! これでワンちゃんも安心すると思いま……」



言い終わろうとした一歩手前で、ハッと我に返る。

やだ、私っ、何やって……。
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