猫目先輩の甘い眼差し


「市瀬さん……?」

「ご、ごめんなさい……っ」

「あっ、ちょっと!」



全身から一気に血の気が引いていく。


カッとなってしまった。口が滑ってしまった。

以前ならそう言い訳していたけど、今回はそんな簡単に片づけられる問題じゃない。


途端にいたたまれなくなって、逃げるようにお店を後にした。



✾✾



「本当に申し訳ありませんでした」



フードコートにて落ち合い、深々と頭を下げた。


本当、何やってるんだろう。
せっかく楽しく過ごしてたのに、台無しにして。

いくら間違ってたからって、子犬を取り上げてまで言う必要なんてなかったのに。



「ううん。間違ってた俺がいけなかったんだから、謝らないで。教えてくれてありがとう」

「っ……」



聞き覚えのあるセリフが胸にグサッと突き刺さる。


その優しさに何度も助けてもらったけれど……安心するどころか、逆に罪悪感が大きくなっていく。

先輩に向かって、部長に向かって偉そうに口出しするなんて。

後輩としてあるまじき行為だよって、叱ってくださいよ。
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