猫目先輩の甘い眼差し


「もしかして、何かあった? 前も、こんな風に深刻そうな顔で謝ってたし……」

「…………」



顔を合わせられず、少し俯いて黙り込む。


部室で声を荒らげた時から。
……いや、出会った時から知られたくなかった。

だけど、2度も失態を見せてしまった以上、何もありませんなんて言えない。



「実は……私、すごく神経質なんです。特に、動物のことになると」



テーブルの下で拳を握り、ゆっくりと言葉を紡いだ。



「さっき、『トラちゃん』って言ってた猫がいたじゃないですか」

「あぁ、アメショーちゃんだっけ?」

「はい。昔、その子に似てた猫がいて……」



記憶をたどり、きっかけを話す。


あれは今から3年前の、中2の夏のこと。

放課後、担任の先生にプリントを提出しに行った時だった。



『──ね……猫、ですか?』

『えぇ。今月に入ってから、たまに見かけるの』



「ほら見て」と見せてきたスマホ画面を覗く。


同じ柄をした、大きさの違う茶色いトラ柄の猫が3匹。

親子連れで、学校に住みついているらしい。
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