猫目先輩の甘い眼差し


現実を目の当たりにした俺達は何も買わずお店を出た。その足でペットショップに向かう。



「世蘭ちゃんは夏休み、他にどこか行くの?」

「特に行く予定はないですね。猫ちゃんがいるので、なかなか遠出は……」



苦い笑みを見た途端、何気なく質問したことを後悔した。


動物を飼っている人なら、旅行とかの遠出が難しいって。

例えホテルに預けて旅行に行けたとしても、ストレスで体調を崩したり、食欲不振になったりするって。

部活でそういう話を何度も聞いているのに、俺はなんて無神経なことを……。



「だよね……難しいよね。なんかごめん」

「いやいや! 確かに家族全員で出かけたことはあまりないですけど、その分癒やされてますし。それに……先輩とこうやって会えてるので、すごく楽しいです」



言い終えると、世蘭ちゃんは照れくさそうに視線を外へ。



「そう……? ありがとう」



と答えて、自分も反対側に顔を逸らした。


さっきから、俺を喜ばせるようなことばかり言ってない? まさか気を遣われてるわけじゃないよな?

これ以上は帰るのが名残惜しくなりそうだからやめてよ。
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