猫目先輩の甘い眼差し
申し訳なさそうな顔を浮かべる彼女の手を取り、お店を後にする。
思ったより早かったため、少々戸惑っている様子。
本当は全部見たかったけど、せっかくの初デートだから、できるだけ一緒に楽しみたいし、あまり離れたくない。
それにまだ、欲しい物をリサーチできていない。
服の系統とか、好きな食べ物は絞れたけど、必ずしもこれらが欲しいってわけでもないし……。
「こんにちは〜。お兄さんお姉さん、カステラいかがですか?」
中央広場に戻っていると、出張販売の男の人に試食を勧められた。
小腹も空いていたので、ありがたく受け取ることに。
フワフワしてて、程よく弾力もあって美味しい。
もうすぐ兄ちゃんと姉ちゃん帰ってくるし、買おうかな。
と思ったけど、逆にお土産をたくさん持って帰ってきそうだったのでやめておいた。
再び館内地図を見に行き、次に回る場所を考えていると。
「あの……付き合っていること、誰かに言いましたか?」
横を向き、おもむろに口を開いた彼女の顔を見る。
「うん。雷夜と朝日さんと、颯くんと郁海には話したよ」