婚前契約書により、今日から私たちは愛し合う~溺愛圏外のはずが、冷徹御曹司は独占欲を止められない~

奈子は宗一郎の背中にしがみつき、そばにいることを確かめた。
宗一郎が奈子の額に優しくキスをする。

「今日、母から連絡があったんです。連休中に、父と一緒にうちへ来たいって」

「なるほど、いつかな。俺もいられるようにするよ」

両親はずっと奈子を心配していた。

行高は宗一郎が奈子を大事にしていないなら別れさせるとまで言いだして、ふたりで話し合ってちゃんと仲直りをしたと納得してもらうまで、とても時間がかかった。

「……お父さん、責任感じて五キロも痩せちゃったの」

宗一郎が眉を寄せる。

「しぼられるな」

「味方してあげます」

奈子は顔を上げ、宗一郎の首筋にキスをした。

「きみを取り上げられないようにしないと」

宗一郎が奈子をギュッと抱きしめる。
奈子は宗一郎の腕にうずまり、小さく笑って目を閉じた。





連休が終わっても、烏丸証券はTOBのおかげで騒がしい。

ホーズキの取締役会はGAIの公開買付に反対した。
敵対的買収となれば、ホーズキが防衛策を取ることが予想される。

ところが取締役会はわずかな増配を決めただけで、まだTOBへの目立った対策はしていなかった。

ホーズキはこれまでも業績がよければそのぶん株主への配当を増やしているので、今回の増配がなにか特別な意味を持っているとは考えにくい。

市場株価は少しずつGAIの買付価格に近づいていて、ホーズキがこのまま買収防衛策を取らないつもりなのか、対応を待っている状況だった。
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