婚前契約書により、今日から私たちは愛し合う~溺愛圏外のはずが、冷徹御曹司は独占欲を止められない~
でも宗一郎の指先が脚の間を探り当てると、そんな余裕もなくなってしまった。
思わず逃げるようによじった体を宗一郎の下に引き戻される。
どうしようもできなくなって、宗一郎の上腕に爪を立て、なにかを懇願するみたいに額を押しつけた。
のぼりつめていく奈子を、宗一郎は口を引き結んで見下ろしている。
とっさに腕で顔を隠したけれど、それもすぐに引きはがされ、手首の内側にキスをされた。
鋭く細められた黒い目の奥に所有欲に似たものがよぎるのを見て、あおられた熱が肌の下でいっきに弾ける。
奈子は宗一郎の背中にしがみついて小さく声を上げた。
宗一郎が満足そうにまなじりにキスをする。
体を沈められ、ふたりの隙間がぴったりと重なってなくなったとき、奈子は泣いていた。
宗一郎と結婚してよかったと思えたから。
ベッドに肘をついた宗一郎が、奈子の顔を心配そうに覗き込む。
奈子は慌てて宗一郎の手を掴んだ。
「やめないで」
宗一郎が眉を上げる。
「わかってる」
宗一郎は奈子を離さないように、背中に腕を回して引き寄せただけだった。