婚前契約書により、今日から私たちは愛し合う~溺愛圏外のはずが、冷徹御曹司は独占欲を止められない~
それで奈子は、ほっとして目を閉じた。
力強い腕に体を寄せる。
宗一郎は最後までちゃんと奈子を抱きしめていた。
「おやすみ、奈子」
今夜はそれを、宗一郎の腕の中で聞いた。
奈子が目を覚ましたとき、宗一郎が背中にぴったりと寄り添っていた。
まだ暁の深い頃で、張りつめた冬の匂いが部屋を満たしている。
夜をこんなにすてきだと思ったことはない。
奈子はキャミソールの胸の下に回された腕にそっと触れてみた。
筋肉が硬くぴんと張りつめる。
宗一郎が髪にキスをしたのがわかって、奈子は身をよじって振り返った。
「ごめんなさい、起こしましたか」
喉がかすれている。
奈子が顔をしかめると、宗一郎はにっこりとほほ笑んだ。
「いや」
枕に肘をついた宗一郎の声は案外はっきりしていたので、奈子もそれほど長く眠っていたわけではないのかもしれない。
砂糖をたっぷり溶かしたような目で見下ろされ、奈子はシーツを肩の上まで引っ張り上げた。