婚前契約書により、今日から私たちは愛し合う~溺愛圏外のはずが、冷徹御曹司は独占欲を止められない~

それで奈子は、ほっとして目を閉じた。
力強い腕に体を寄せる。

宗一郎は最後までちゃんと奈子を抱きしめていた。

「おやすみ、奈子」

今夜はそれを、宗一郎の腕の中で聞いた。





奈子が目を覚ましたとき、宗一郎が背中にぴったりと寄り添っていた。

まだ暁の深い頃で、張りつめた冬の匂いが部屋を満たしている。
夜をこんなにすてきだと思ったことはない。

奈子はキャミソールの胸の下に回された腕にそっと触れてみた。
筋肉が硬くぴんと張りつめる。

宗一郎が髪にキスをしたのがわかって、奈子は身をよじって振り返った。

「ごめんなさい、起こしましたか」

喉がかすれている。
奈子が顔をしかめると、宗一郎はにっこりとほほ笑んだ。

「いや」

枕に肘をついた宗一郎の声は案外はっきりしていたので、奈子もそれほど長く眠っていたわけではないのかもしれない。
砂糖をたっぷり溶かしたような目で見下ろされ、奈子はシーツを肩の上まで引っ張り上げた。
< 72 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop