今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 私はストンと納得した。ただし、それはベルの言葉によってではなく、思い出したからだった。
 ……そうだよ! そもそもパパは、ゲーム世界の攻略対象だったのだ。パパルートで物語が進行していれば、正ヒロインのヴィオラがパパに接近してくるのは分かりきっていたことだ。
 ……そっかぁ。私ってば、パパの娘のポジションに浸かりきって忘れていたけど、これからパパにはヒロインとの恋愛イベントが目白押し。ヒロインとの食事にデートにお茶会に。私と一緒に過ごす時間なんて、なくなちゃうんだろうな。
 それってなんだか寂しいね……って、違うよ!
 私はハッとして、のんきな考えを振り払う。……事は、寂しいとか寂しくないとかそれ以前!
 パパが正ヒロイン・ヴィオラとの婚約ルートを突き進めば、私は漏れなくこの世からおさらばだ。たしか魔力持ちのヴィオラは自身の魔力を清く正しく使い熟し、闇魔力に手を染めた極悪幼女リリーの排除にも一役買う流れになっていたんだから――!
『なんじゃ? ずいぶんと気にしているようじゃな?』
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