今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 本当は、もっと訪問先について聞きたかったし、パパが『断れない』なんて評する相手との関係も知りたかった。だけど、私は聞き分けよく返事して、パパを見送った。
「ああ、いってくる」
 ……パパは、どこにお招きされたんだろう。
 パタンと玄関の扉が閉まり、その姿が見えなくなっても、私はパパの行き先が気になって仕方なかった。
『ありゃあ、女じゃな』
「えっ!?」
 足元からあがった声にギョッとして視線を向ける。
 すると、いつの間にかベルが廊下の先にいて、こちらを見ながらパッタンパッタンと尻尾を床に打ち付けているではないか。ベルの目はニンマリと弧を描き、なんだか面白がっているみたいだ。
「ねぇベル、今の女ってやつ、どういう意味?」
『どうもこうも、そのままだ。奴は騎士団長という地位にあり、三十二歳の男盛り。しかもコブ付きとはいえ、身分は王家の覚えも目出度い侯爵だ。そりゃあ普通に考えて、周囲が放っておかんじゃろう』
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