イケメン御曹司が初めての恋をして、天然でかわいい女の子に振り回されちゃう話。
まだ優乃は来ていない。
靴を履き替えて、1年の下駄箱のところで待つ。
「あれ?伊月先輩!?」
かわいい声がおれの名前を呼ぶから、すぐに顔をそちらに向けた。
驚いたように目を丸くする優乃がそこにいて、姿を見るだけで気持ちがほわっとした。
いや、ほわってなんだ?
意味わかんねぇ。
変な感じだけど、悪い気はしない。
「よう」
「わたしのほうが先だと思ってました。すみません。待ってるって言ったのに……!」
「いい。行くぞ」
「はい!」
明るく返事をしてそのまま歩きだす優乃。
ちょっと待て。
「……靴は?」
「え?……あ、ほんとだ。上靴のままでした」
おれの声に下を向き確認してから、顔を上げて恥ずかしげに笑う。
は?かわいすぎだろ。
「えへへっ。恥ずかしいです」
頬を赤く染めて急いで自分の靴箱へ移動して靴を履き替える。
わざとじゃないんだろうな。
いや、靴を履き替えることを忘れるってわざとしないか。
忘れたところで得もないし。
優乃は抜けてるというかなんというか。