学園怪談
 そこまで言って、先生が一緒に聞いていることを思い出した。しかし、ここまで来て言わないのも変なので、先生をチラリと見やると話しを続けた。
「わ、私が寄り道しようと言っても、いつも断られていたくらいですから、彼女一人でどこかに寄り道はありえません」
 警察の人たちは少しがっかりしたような顔をして、その後も別の質問をしてきた。
 サヤは質問に答えながら、頃合をみて逆に尋ねた。
「めぐみが……いなくなったんですか?」
 ……サヤの予想は当たっていた。めぐみは昨日家には帰っておらず、今朝になっても何の連絡もない。昨夜遅くに警察へ捜索願が出され、最後に一緒にいたとされるサヤに警察が話を訊きに来たという訳だった。
 誘拐なら身代金を要求する電話が掛かって来るはずなのにそれもない。どこかに監禁されているという可能性もあるが、彼女の帰り道は人通りの多い通りで、もしも不審者や誘拐といった事件が起これば目撃情報がないはずがない。
 つまり、警察の見解としては、彼女は自発的に姿を消したという可能性が強いとしているようだった。
「めぐみ……どこに行ったの?」
 サヤはその日の放課後、昨日めぐみと一緒にいた時間を思い出しながら行動していた。
「あ、ここは……」
 夕方の放課後。静まり返った3階の廊下の一番奥。二人して何かの声を聞いたと思った場所だ。昨日、めぐみと二人でこの非常口にいた。その後でめぐみは姿を消している……。
 しかし、今日は待てど、例の声が聞こえてくることはなかった。
 その時、ふとサヤは携帯を取り出した。
「もう見つかっているといいんだけど」
 ……ズッチャ、ズッチャ、ズッチャ、ズッチャ。
「え!」
 聞きなれた着信音が僅かばかりくぐもって聞こえた。
 この携帯の着信音はめぐみお気に入りのバンドの曲だ。その独特の音はサヤの耳に微かに響く。
「う、うそ。近くにいるの? めぐみ!」
 しかし、サヤの呼びかけに返事はない。
 バタアン!
 非常口を出てみる。しかし、階段を少し降りたところで音はほとんど聞こえなくなった。すぐに引き返してみると、音がまた微かに聞こえるようになった。
「どこ? どこなの?」
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