彼女の居場所外伝 ~たんたんタヌキ~
「もうバレちゃった」
がっくりと女がソファーに身を投げ出した。
「レイフ?それはイタリアにいる遠縁のレイフのことか?なぜ早希がその名前を?」
女に対する怒りはあるが、それ以上に早希の口から発せられた名前に疑問が浮かんだ。
「レイフ・カーヴィンさん、康史さんの遠い親戚ですよね」
早希が小さくため息をついた。
レイフ・カーヴィン
母方のイタリアの遠い親戚にカーヴィン姓の家族がいる。そんな程度の認識でしかない。付き合いなど全くないのだ。
そんな男のことをどうして早希が知っているのか。
俺の視線に早希は困ったように少し笑う。
「少々鼻の利く上司がおりまして・・・大企業の創業家に嫁ぐ部下を心配して入籍前にいろいろと情報を入れてくれたのです。例えば、トラブルを抱えそうな血縁関係者の事とか」
「それがレイフ・カーヴィンって事か」
驚く俺にそうです、と早希は頷いた。
不測の事態に備えてタヌキは事前に早希に情報を与えていた、ということか。
タヌキはどこまで情報収集能力があるのか、そしてどれだけ用意周到なのだろうか。
人畜無害な顔をしてどれだけタヌキなのかとぞっとするが、今回もタヌキに助けてもらった事に違いない。
「あなたがDNA鑑定すれば一発でわかるようなどうしようもない嘘をついたのはどうしてかしら」
早希が女に問いかける。
「幸せそうなあなたたちが羨ましかったとでもいえばいいかしら」
早希の問いに女はふてくされたように冷めたコーヒーを一気に飲み干し、ハンドバッグから名刺を一枚取り出すと、テーブルの上でそれをこちらに向かって滑らせてきた。
コンフォートフィルムズ 田所あおい
先日大幅なリストラをしていた映画の配給会社だ。
これは自分の名刺だというのか。
だが、その会社と付き合いはないしその横に書かれた名前にも記憶はない。
「俺と面識はあったのか?」
「ありましたよ。先輩は忘れてるみたいですけど」
やっぱり覚えてないですよね、とお手上げだとでもいうように首を左右に振った。
「忘れたんじゃなくて認識してなかったのかもしれないです。私は大学のゼミでもモデルとしても目立つ方じゃなかったですから」
大学のゼミ、モデル、田所あおいーーー?
過去の記憶を辿ってみてもやはりわからない。
がっくりと女がソファーに身を投げ出した。
「レイフ?それはイタリアにいる遠縁のレイフのことか?なぜ早希がその名前を?」
女に対する怒りはあるが、それ以上に早希の口から発せられた名前に疑問が浮かんだ。
「レイフ・カーヴィンさん、康史さんの遠い親戚ですよね」
早希が小さくため息をついた。
レイフ・カーヴィン
母方のイタリアの遠い親戚にカーヴィン姓の家族がいる。そんな程度の認識でしかない。付き合いなど全くないのだ。
そんな男のことをどうして早希が知っているのか。
俺の視線に早希は困ったように少し笑う。
「少々鼻の利く上司がおりまして・・・大企業の創業家に嫁ぐ部下を心配して入籍前にいろいろと情報を入れてくれたのです。例えば、トラブルを抱えそうな血縁関係者の事とか」
「それがレイフ・カーヴィンって事か」
驚く俺にそうです、と早希は頷いた。
不測の事態に備えてタヌキは事前に早希に情報を与えていた、ということか。
タヌキはどこまで情報収集能力があるのか、そしてどれだけ用意周到なのだろうか。
人畜無害な顔をしてどれだけタヌキなのかとぞっとするが、今回もタヌキに助けてもらった事に違いない。
「あなたがDNA鑑定すれば一発でわかるようなどうしようもない嘘をついたのはどうしてかしら」
早希が女に問いかける。
「幸せそうなあなたたちが羨ましかったとでもいえばいいかしら」
早希の問いに女はふてくされたように冷めたコーヒーを一気に飲み干し、ハンドバッグから名刺を一枚取り出すと、テーブルの上でそれをこちらに向かって滑らせてきた。
コンフォートフィルムズ 田所あおい
先日大幅なリストラをしていた映画の配給会社だ。
これは自分の名刺だというのか。
だが、その会社と付き合いはないしその横に書かれた名前にも記憶はない。
「俺と面識はあったのか?」
「ありましたよ。先輩は忘れてるみたいですけど」
やっぱり覚えてないですよね、とお手上げだとでもいうように首を左右に振った。
「忘れたんじゃなくて認識してなかったのかもしれないです。私は大学のゼミでもモデルとしても目立つ方じゃなかったですから」
大学のゼミ、モデル、田所あおいーーー?
過去の記憶を辿ってみてもやはりわからない。