彼女の居場所外伝 ~たんたんタヌキ~
りこんーーと女の口から小さな声が漏れた。
「離婚後レイフさんは何度も来日しては長野県の小さな村を巡っているという話を聞いたと私のイタリアの友人が言っていました。他にも春には目黒川の桜を来日中ずっと見に行っていた、横浜の山下公園に朝から晩までいたなんて話もあるみたいですね。・・・どこも彼の商売とは関係がなさそうですけどあなたにはこの意味がわかりますか」
高橋さんの話を聞いていた女の目からぽろんと涙が流れ落ちた。
後は泣き止ませるのに苦労した。
女とレイフ・カーヴィンとの関係は問いつめる必要もなく女が自ら語り出した。
勿論子どもの父親はレイフ・カーヴィンだった。
出会ったのは6年ほど前。
山下公園の近くで道に迷っていた外国人男性に声を掛け目的地に案内してやったというのが二人の出会いだったそうだ。
翌年、旅行で訪れた長野県の山の中のホテルで偶然に再会し互いの連絡先を交換してたまにメールを送り合う関係になった。
それから数ヶ月おきのレイフの日本出張の時に食事をする関係になり、互いに思いを寄せる間柄になった。目黒川の桜が咲きデートをした日の夜、レイフから衝撃の告白をされたのだという。
「彼ね『妻とは必ず離婚するから待っていて欲しい』って言ったの。信じられなかったわ。だって結婚してるなんて知らなかったし。知っていたらあんなことしなかった。不倫なんて許されることじゃないもの。驚きよりも怒りで目の前が真っ赤になって彼のこと思いっきりひっぱたいてホテルの部屋を飛び出した」
それから一切連絡を絶った。
携帯の電話番号とメールアドレスを変えただけで簡単だった。
両手の指で足りる程の回数しか会ったことはなく、自宅の住所はおろか勤務先も教えていなかった。自分の仕事に自信がなかったわけじゃないけれど、彼との差がありすぎて言い出しにくかったからという理由できちんと教えていなかったのが幸いした。
「結婚してるくせに何にも言わないで私を誘うなんて。男なんて信用するもんじゃないわ。もうきっぱりと関係を絶とうって思った。綺麗さっぱりいなくなってやろうって」
田所あおいの言葉に、自分の話ではないというのに胸に刺さるものがある。
高橋さんからは強い視線を感じ、早希を見ると苦笑していた。
俺はひっぱたかれなかったが、あの時早希には綺麗さっぱり逃げられたっけ。
もちろん俺の場合はレイフ・カーヴィンのように不倫をしていたわけじゃないし、他に付き合っている女もいなかったが。
「離婚後レイフさんは何度も来日しては長野県の小さな村を巡っているという話を聞いたと私のイタリアの友人が言っていました。他にも春には目黒川の桜を来日中ずっと見に行っていた、横浜の山下公園に朝から晩までいたなんて話もあるみたいですね。・・・どこも彼の商売とは関係がなさそうですけどあなたにはこの意味がわかりますか」
高橋さんの話を聞いていた女の目からぽろんと涙が流れ落ちた。
後は泣き止ませるのに苦労した。
女とレイフ・カーヴィンとの関係は問いつめる必要もなく女が自ら語り出した。
勿論子どもの父親はレイフ・カーヴィンだった。
出会ったのは6年ほど前。
山下公園の近くで道に迷っていた外国人男性に声を掛け目的地に案内してやったというのが二人の出会いだったそうだ。
翌年、旅行で訪れた長野県の山の中のホテルで偶然に再会し互いの連絡先を交換してたまにメールを送り合う関係になった。
それから数ヶ月おきのレイフの日本出張の時に食事をする関係になり、互いに思いを寄せる間柄になった。目黒川の桜が咲きデートをした日の夜、レイフから衝撃の告白をされたのだという。
「彼ね『妻とは必ず離婚するから待っていて欲しい』って言ったの。信じられなかったわ。だって結婚してるなんて知らなかったし。知っていたらあんなことしなかった。不倫なんて許されることじゃないもの。驚きよりも怒りで目の前が真っ赤になって彼のこと思いっきりひっぱたいてホテルの部屋を飛び出した」
それから一切連絡を絶った。
携帯の電話番号とメールアドレスを変えただけで簡単だった。
両手の指で足りる程の回数しか会ったことはなく、自宅の住所はおろか勤務先も教えていなかった。自分の仕事に自信がなかったわけじゃないけれど、彼との差がありすぎて言い出しにくかったからという理由できちんと教えていなかったのが幸いした。
「結婚してるくせに何にも言わないで私を誘うなんて。男なんて信用するもんじゃないわ。もうきっぱりと関係を絶とうって思った。綺麗さっぱりいなくなってやろうって」
田所あおいの言葉に、自分の話ではないというのに胸に刺さるものがある。
高橋さんからは強い視線を感じ、早希を見ると苦笑していた。
俺はひっぱたかれなかったが、あの時早希には綺麗さっぱり逃げられたっけ。
もちろん俺の場合はレイフ・カーヴィンのように不倫をしていたわけじゃないし、他に付き合っている女もいなかったが。