政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
なんとか答えながら、頭の中を整理する。
空調設備の整った部屋も、私の好みにドンピシャの家具も、蓮見さんが整えてくれたものだったのか。
もしかしたら、私がモデルハウスで受付をしていることや、その間取りを眺めながら頭の中で合う家具を想像するのが好きだということを、父から聞いて知っていたのかもしれない。
だから……。
不意に、蓮見さんの趣味には合わない、白いふわふわのスリッパが頭に浮かんだ。
あれもきっと、私に用意してくれたものなんだろう。
「私、政略結婚なんて嫌なんです。恋愛をして結婚したいですし、そのあとの生活も思いやりや愛情で溢れたものがいい。だから、蓮見さんとのことは破談になればいいと思って、嫌がらせしてきました」
静かに話し出すと、柳原さんは「嫌がらせ?」と顔をしかめた。
「蓮見さんが、家庭的な雰囲気が嫌いだと言っていたので、手料理を毎日作って迎えたり、家具を買い替えたいとかわがままを言ってみたり。本当だったら蓮見さんはそういう言動にうんざりしているはずなのに、態度には出さずに付き合ってくれている。それどころか、私を妻として心配したり大事にしてくれているんです」
柳原さんをまっすぐに見つめて聞く。
「そこまで大事にされているのに愛まで欲しいって、やっぱり私のわがままなんでしょうか」
最初にした質問を繰り返した私に、彼女は困ったように眉を下げる。
それから、更に困り果てて笑った。
「逆に、そこまで大事にされているのに、どうして愛がないって思うの?」
「それは……」