政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
「付き合った人は、みんなちゃんと好きでした。……でも、キーパーソンではなかったのかなって思います」
戸村くんの話が聞こえていたなら、この話題も耳に届いたはずだと思い言うと、予想通り大祐さんは「ああ、そんな話もしていたな」と反応した。
大祐さん、カタログを頭に詰め込みながらこちらの会話まで拾っていたなんてすごいな。きっといくつもの仕事を同時進行でこなせるタイプだ。
十八時を過ぎた道は混み合っていて、ナビがそこらじゅうで起こっている小さな渋滞を教えていた。
「私、御園からその話を聞いたとき、私にとってのキーパーソンは間違いなく大祐さんだと思いました」
大祐さんと会ってからというもの、ずっと心に傷として残っていたものがひとつひとつ解決されていった。
〝お嬢様〟という印籠しかり、戸村くんのことしかり、御園のことも。
「同時に、大祐さんにとってのキーパーソンになりたいと思いました」
信号で車が止まる。
大祐さんがこちらを向いたのがわかったので、私も運転席に視線を移した。
「妻とか、そういう立場よりも、大祐さんの人生の要になりたいなって。大祐さんの人生にとってのラッキーになれたら、それ以上はないくらいに私は幸せだと思いました」