政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
「え?」
「ずっと俺の後ろをついてきているだろ。ひとりが寂しかったのか?」
指摘されて初めて自分が蓮見さんの後ろをずっとついて回っていたことに気付き、一気に恥ずかしくなる。
「違います。ただ、その、妻として迎え入れただけであって……」
もごもごと言い訳はしたけれど、蓮見さんは信じていないようだった。一度くっと笑ってからネクタイを緩める。
「あの。本当に違いますから」
「ああ。わかった。さっきの話の続きだが、家事に関しては時間の関係もあるし基本的には気が付いたところは自分でやって、あとは週に一、二回ハウスキーパーを呼んでいる。そのへんのことも後で説明する」
「……料理は?」
蓮見さんが料理できる場合とできない場合では、手料理からくるダメージが違ってくる。
だから、恐る恐る返事を待っていると、蓮見さんはそんな私を不可解そうに見ながら「料理はしない」と答えた。
それからダイニングテーブルに視線を移し、そこに並んでいる料理を見てわずかに眉を寄せた。
「作ったのか?」
声色からはそこまでの不満や嫌悪は聞き取れないけれど、意外そうな顔はしているので、反応としてはまずまずだ。
私が料理なんてしないと思っていたのだろう。