政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
だから、食卓についた蓮見さんに笑顔で〝おかわりありますからね〟と告げるプログラムは、〝おかえりなさい〟同様に直前に恥ずかしくなり失敗したものの、そんなのはたいした問題ではない。
手を合わせ「いただきます」と言う私を見た蓮見さんは若干の間のあと、私の手前、同じようにした。
きっといちいち手を合わせるのも挨拶するのも面倒だと思ったのだろう。
繰り返すようだけど、メニューは精鋭ぞろい……とはあっても、考えてみれば、手料理を家族以外に振る舞うのは初めてだ。
おかしな味覚はしていないと思う。でも、やっぱり蓮見さんの反応は気になった。
盗み見する先で、蓮見さんが肉じゃがを口に運ぶ。
ドキドキしながらも反応をうかがっていると、蓮見さんは目線を料理に向けたまま「うまいな」とつぶやいたので、嬉しさから箸を持っている手に自然と力が入ってしまった。
これは嫌がらせだけど、それでも手間をかけて作った料理をおいしいと言われるのは嬉しいに決まっている。
味を認められ安心すると一気に気分が上昇するので、口元がにやけないように意識した。
「料理はいつ習ったんだ?」
食事をしながら聞かれる。
蓮見さんを見たけれど視線はぶつからなかった。