政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


自分の負けず嫌いな部分はあとから考えると面倒だとも思うけれど、おかげで、次の調理実習では即戦力になれたし今だってこうして料理を作れているのだから、役に立ってもいる。

それをそのまま説明しようとして、ハッとした。

蓮見さんとはそんな思い出話をする間柄ではないと思い出したからだ。
この半月のメッセージのせいで、明らかに蓮見さんへの対抗意識が抜け落ち、親近感を抱いていしまっている自分に気付いて気を引き締める。

早々に婚約破棄に持っていく予定なのだから、思い出話を仲良く共有する必要はない。

「なにも。ただ、なんとなくです。でも、これから毎日夕飯は私が作るので、外で済ませてくる日は連絡してください」

望んでもいない手料理を毎日作られる上、いらない場合は要連絡。
今までの蓮見さんの生活にはなかったルールはさぞかし鬱陶しいはず。

もうここで婚約破棄宣言してくれても構わないけれど……と思いながら見ていたのに、蓮見さんは表情ひとつ変えずに「わかった」と返すだけ。

またしても不発感が否めないなか、ふたりで「ごちそうさまでした」と食事を終えたのだった。



ドライヤーを切ってからリビングに戻る。
だいぶ照明の絞られたリビングダイニングに、先にお風呂を済ませた蓮見さんの姿はなく、本当はずっと頭の中から抜けない疑惑が主張し出す。

その疑惑が生まれたのは、今日帰宅後、宅配業者が来てからだ。

大きな段ボールをいくつも持ってきた業者が組み立てたのはキングサイズのベッドだった。
うちの両親が使っているサイズと同じだから間違いない。

そして、そのキングサイズの代わりに引き取っていったのは昨晩まで私が使っっていたダブルサイズ。

< 40 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop