政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


それを肉じゃがを煮込みながら眺めていた時から、疑問はあったのだ。
この家には、寝室って実はひとつしかないんじゃないかって。

半月前のルームツアーでも、蓮見さんは残りのふた部屋について、ひとつは書斎、もうひとつは今のところ使い道はなく物置状態だと話していた。

でも、私はてっきり物置状態の部屋にもうひとつベッドがあって、蓮見さんはそちらで寝るものだとばかり思っていたのだけれど……だとすると、あのキングサイズに説明がつかない。

いくら〝ロータステクノロジー〟御曹司でも、キングサイズにひとり寝はしないだろうし、普通に考えるとあれにふたりで寝るのが……いやいやいや。

そもそも政略結婚でもそういうことをするもの?
それに、半月前が初めましてで、しかも蓮見さんはすぐ出張に行ったので、ふたりで過ごした時間はトータル五時間にも満たない。入籍だってまだなのだ。

勝手に用意した夕飯をおかわりまでしてくれたのはちょっと嬉しかったけれど。
メッセージでたしかに距離は縮まってしまったけれど。

私の〝おかえりなさい〟を無視せずに〝ただいま〟と返してくれたり、きちんと〝ごちそうさま〟と言ってくれたのも胸にじんわりときたけれど。

だからってお互いのことだってほぼ知らない状態でそんな……ねぇ。
ありえない、と思いながらも寝室を前に動けない。だって、私と蓮見さんは一応〝夫婦〟の予行練習中なのだ。

そして普通、〝夫婦〟はそういうことをするものだ。

……どうしよう。誰かに相談する?


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