政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
でも、内容が内容なだけに家族には言えないし、この状況を知る友達もいない。一から説明する時間は今はない。
「ソファで寝落ちした振り……は、だらしないし」
母の『ソファは寝る場所じゃないわよ』という、穏やかながら厳しい声が聞こえてきてふるふると首を振る。
女性としてそれはダメだと教えられてきたし、母の目がないからといって約束は破れない。
蓮見さんがどういうつもりなのか図りきれなくて、ドアの前で腕を組み仁王立ちして少しが過ぎたとき中からドアが開き、ビクッと肩が跳ねた。
現れたのは当然蓮見さんで、襲い掛かられたらどうしようと怖気づく心臓がドッドッと緊張の音を鳴らしていた。
「あがってたのか。遅いから倒れでもしているのかと思った」
真顔で言われる。
一応、心配してくれたのかな?と思ったけれど「面倒なことになっていなくてよかった」と続いたので、言おうとしていたお礼が引っ込む。
これは政略結婚で気持ちなんて伴っていないのだから、心配しなくて当然ではある。お互いに無関心が鉄則なのもまぁ、わかる。
……にしても、それ以前にやっぱり蓮見さんの言い方にはデリカシーというか人の心がなさすぎるようには思うけれど。
蓮見さんが寝室に戻るので、ひとりで内心ぶつぶつ思いながらそれに続く。
寝室の明かりは、壁についている小さな照明だけ。
パジャマを取りにきたときも強引に視界に入れないようにしていたベッドは直視するとやっぱり大きくて、目を逸らしたくなった。