政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
それらしい雰囲気が少し漂っている気がして心臓がそわそわする。
あまりの緊張に、もういっそ、するつもりなのかそうじゃないのかハッキリ宣言して欲しいとすら思った。
「荷物」
「えっ……え、荷物?」
張り詰めた空気のなか話しかけられ異常に驚くと、蓮見さんは不思議そうに聞く。
「荷物、まだ運び入れていないのか」
私の服が三、四枚しか収納されていないクローゼットを見たのだろう。
「あ、はい。その、仕事もあって忙しかったので」
もごもごと誤魔化していると、蓮見さんがベッドに座るので、もう我慢できずに直接聞こうと口を開く。
「あの、念のため聞きますが、このベッドで眠るのは誰ですか?」
「俺と春乃に決まってるだろ」
即答される。
驚いたのは、蓮見さんが〝なにを当たり前のことを〟とでも言いたそうな顔をしていたからというのもあるし、その態度があまりに普通だったからだ。
そういう、いやらしさというか下心をまるで感じさせない返答に、ああそうかとようやく納得がいく。
同じベッドで眠るイコール体の関係というわけじゃない。
仮にも夫婦予定なのだから、同じベッドで眠るくらい普通だ。
私が勝手にふしだらな想像をしていただけなのだとわかり、なんだかひとりで恥ずかしくなりながら「ですよね」とぽそりと言い、蓮見さんとは逆サイドからベッドに入る。