政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


「それなら、その顔はどうした? 不満そうに見える」

指摘され、目をしばたたかせる。
不満……に思っていることはないけれど、もし顔をしかめていたのなら理由に心当たりはあったので、上半身を起こしたまま目を伏せた。

「いえ……その、同じベッドに入ることに少し違和感を抱いていただけです」

ベッドの上。私と同じように上半身を起こしている蓮見さんからの視線を隣から感じた。

「違和感?」
「はい……その、だって、蓮見さんは同居開始と同時に半月も家を空けてたから、こうして同じ空間で会話をするのだって久しぶりですし、会話した時間は初日と合わせても二時間にも満たないと思うんです」

しかも初日はほとんどこの家の取扱説明書だった。

「だから、ちっとも夫婦らしいことはしていないのに同じベッドで眠るのが不思議というか……」

仮面夫婦だって同じベッドでくらい寝る。
頭ではそう思ったけれど、実際に同じベッドに入ってみたら違和感がすごかった。

嫌ではないにしても……とにかくすんなりは受け入れられない何かがある。
それはきっと、蓮見さんと過ごした時間があまりに少ないからだろうと私なりに推理して言うと、蓮見さんは「夫婦らしいことか」と呟くように繰り返した。

彼の声で発された言葉を聞いてから、恥ずかしい発言をしたことに気付いて慌てて隣を見た。


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