政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


他の抵抗を試みてみようとしても、咥内を撫でる舌のせいで集中力が持っていかれ、次第にキスを受け入れるだけでいっぱいいっぱいになる。

好きでもない人とこんなキスをしている自分も、嫌悪感を抱かない自分も信じられなくて混乱しているのに、それを蓮見さんの舌が拭って、甘さを植え付けていく。

「ふ、ぅ……っ」

私の顎を固定した蓮見さんに執拗に唇を重ねられ舌を絡めとられているうちに、ぞくりとした感覚が体に走り視界がとろけだす。

わずかに感じる、蓮見さんのシャンプーの香り。おでこに落ちる私とは違った黒い髪。
思考回路がろくに働かなくなると代わりに五感が冴えるのか、キスの合間にもれる蓮見さんの吐息だとか、なぞるように触れてきたときの唇の感触だとか、色々なものが伝わってきて、もっと、と思う。

頭の隅っこでは、付き合ってもいない人とこんなこと……!と叫ぶ自分がいるのに、その声がどんどん遠くなり、目の前の蓮見さんに夢中になっていく。

「ん……あ、ぅ……っ」

パジャマの裾から入って来た手がお腹のあたりを撫でる。
直に肌に触れられても嫌悪感どころかじわじわとした気持ちよさを感じ取ってしまう自分に気付き、ああもうダメだ、と思った。

だって無理だ。
こんなむせ返るような色気を漂わせる蓮見さん相手に自我を保てる人なんてきっといない。

私の意地も見栄もなにもかもを溶かす甘い雰囲気に溺れ、助けを求めるように手を伸ばす。
縋りついた私に気付いた蓮見さんが小さく笑ったのが、キスしながらでもわかった。


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