政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
ひと晩寝ればあんなのもうなかったも同然だ、と割り切れる性格ならよかったな。
うっかりするとそんな弱気が顔を出すので、頭を振って気を引き締める。
というか、早々に関係を持ったおかげで、今後いつ襲われるかとそわそわする必要がなくなったぶんむしろよかったとも考えられる。
つまり計画は順調だ。
ただ、ああいうことが久しぶりだったから気持ちが昨夜の出来事にずるずる引きずられっぱなしなだけだ。
……それでもやっぱり、関係を持ったのは早まったかもしれない。
そんな後悔がどうしても消せない中、朝食づくりに励んだ。
正直、朝は得意じゃないし情けないことにこれまでの二十四年間で自分で朝食を作ったことはない。
しかも昨日のアレコレの疲れも残っている中、それでも根性で早起きしたのは、幸せな家庭は手作り朝食から始まると考えたからだ。
蓮見さんが苦手と挙げた〝家庭的〟には、夕飯と同じくらい朝食も重要だ。
トーストを焼き、イチゴジャムとバターを準備。パックのコーンスープとハムエッグにサラダ。
全然引いてくれない眠気と、朝からキッチンに立つという慣れない行為に若干うんざりしながらも並べたそれらを、蓮見さんは黙って完食していた。
そこまで嫌がっている様子は見られないものの、喜んでいるようにも見えないので、作戦は失敗ではないのだと思う。
食器洗いはサボり、食洗器に放り込んでから歯磨きをするために洗面所に行くと先客があった。