政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい
土日祝日は来客が多くとても忙しい。
なので休暇を取るにしても可能な限りそこは避けていて、そんな私を知っている白崎は、半月ほど前の土日の有給取得が不思議だったらしい。
母に政略結婚の話をされ、翌日から蓮見さんの部屋で同居を始めた、九月半ばの土日。
あれからもう半月以上が経つなんて信じられない気分だった。
白崎からその有給について社食で顔を合わせた時思い出したように聞かれ、もろもろと説明して今に至る。
ちなみに白崎は営業部で、高身長高学歴の持ち主だ。ツーブロックの髪に、やんちゃそうな顔立ちで、学生時代相当遊んでいたのだろうと誰もが想像がつく風貌で、性格も明るく軽いので社内では人気がある。
私はワイルド系よりも、凛々しさのある美形の方が好みなので白崎には恋心が動かない……と、そこまで考えたところで頭の中に蓮見さんの顔がポンと浮かんでくるので慌ててふるい落とす。
ついでに紐づいて浮かび上がりそうになった昨夜の情事も脳内から叩き落とす。
別に蓮見さんは好みじゃない。顔立ちうんぬんではなく、政略結婚できる思考の持ち主という点でありえないし、わかりあえない。
価値観の完全なる相違だ。
「なるほど……たしかにブラシ部分がくっつくのは嫌かも」
〝ブラシ部分〟の接触は恋人以外無理だという白崎の主張に納得する。
私も、父の歯ブラシとくっついていたら、捨てはしないにしても少し念入りに水ですすいでから使う。
親子関係は良好だけれど、それはそれ、これはこれだ。