政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい


六歳上の兄が大好きで、兄が大学の頃は昼休みになるとよく付属の中等部を抜け出して大学に忍び込んでまで会いに行っていたものだ。

兄はドイツでの生活がよほど合ったらしく、今でもちょこちょこ仕事を見つけてはロングステイしている。
今もまさに去年から一年間という予定でドイツに在住中で、今月末に帰国するらしい。

「それより、白崎の考える〝THE・手料理〟ってなに?」

本社ビルを出て、隣に建つモデルハウスに入る。
私が席を外す間だけ代わりに受付に入っていた社員から引継ぎを受けたものの、平日の昼時の来客はほとんどあったことがない。本日もゼロだった。

「手料理かー……。そもそも俺は他人の手料理無理なんだよな」

話しながらリビング周りを整える。

これから来るのは小さいお子さんのいる家庭なので、子ども部屋に置いてあるおもちゃ関係もこちらに置いておくことにして、自然風景が切り替わるテレビ画面も幼児向けのアニメに変更する。

「真面目に考えてよ。嫌がらせが効かないと一向に婚約解消できないんだから」
「いや、宮澤が素直に負けを認めて〝本当は恋愛結婚がしたいんです、ごめんなさい〟って蓮見さんに謝ればまだ道は残されてる気がするけど」

苦笑いを浮かべた白崎が、それまで動かしていた手を止め私をじっと見る。
突然見つめられ「なに?」と首をかしげると、白崎は私をまじまじと眺めながら不思議そうにする。


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