愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
[2]
タクシーで帰宅したあと、わたしはひどい吐き気と頭痛に襲われた。
何をどうしたのか自分でも覚えていないくらいで、気が付いたらキングサイズのベッドの端で体を丸めて横になっていた。
『実の親に売られて交わした愛のない政略結婚』
ぐわんぐわんと頭を割るような頭痛と重なるように、荒尾の声が耳の奥でいつまでも鳴り響く。
「やめて……」
その声を振り払おうと頭を振ると、ズキンとこめかみが鈍く痛んだ。
荒尾は言った。森乃やは、わたしと引き換えに再建の近道を手に入れた、と。
わたしと荒尾が結婚して、後継者問題に光が差したとして。
それでも銀行から融資が受けられるという保証はないし、受けられたとしても潤沢な資金が確保できるわけじゃない。
経営を立て直すのは容易いことじゃない。
だけど父も母もまだ五十代。社長も女将もまだまだ現役なのだから、銀行の融資のことさえなければ慌てて後継者を決める必要もない。
そこにきて、銀行の融資よりも確実に森乃やを立て直せる術があるとしたら―――。
『幹部社員と結婚した娘が若女将になり、銀行からの融資を受ける』のか。
それとも、
『今を時めくホテル王に娘を嫁がせて、大企業の後ろ盾を得る』のか。
いったいどちらが森乃やの将来に確実に有利になるのか。
子どもの頃から森乃やで働く両親を見続けてきたわたしには、彼らがどちらを選ぶのか一目瞭然。疑問を差しはさむ余地なんてない。
香月グループにとっても、森乃やを仲介役に置くことで、【KAGETSU】の九州でのホテル展開を円滑に拡大できるとするなら、無駄な投資にはならないだろう。
荒尾が言った通り、【森乃や】は地元の名士や観光業界、商工会など、様々なところに顔が利く。福岡のみならず、その隣の山口と九州全域にかなり太いパイプを持っていることは確かだ。
タクシーで帰宅したあと、わたしはひどい吐き気と頭痛に襲われた。
何をどうしたのか自分でも覚えていないくらいで、気が付いたらキングサイズのベッドの端で体を丸めて横になっていた。
『実の親に売られて交わした愛のない政略結婚』
ぐわんぐわんと頭を割るような頭痛と重なるように、荒尾の声が耳の奥でいつまでも鳴り響く。
「やめて……」
その声を振り払おうと頭を振ると、ズキンとこめかみが鈍く痛んだ。
荒尾は言った。森乃やは、わたしと引き換えに再建の近道を手に入れた、と。
わたしと荒尾が結婚して、後継者問題に光が差したとして。
それでも銀行から融資が受けられるという保証はないし、受けられたとしても潤沢な資金が確保できるわけじゃない。
経営を立て直すのは容易いことじゃない。
だけど父も母もまだ五十代。社長も女将もまだまだ現役なのだから、銀行の融資のことさえなければ慌てて後継者を決める必要もない。
そこにきて、銀行の融資よりも確実に森乃やを立て直せる術があるとしたら―――。
『幹部社員と結婚した娘が若女将になり、銀行からの融資を受ける』のか。
それとも、
『今を時めくホテル王に娘を嫁がせて、大企業の後ろ盾を得る』のか。
いったいどちらが森乃やの将来に確実に有利になるのか。
子どもの頃から森乃やで働く両親を見続けてきたわたしには、彼らがどちらを選ぶのか一目瞭然。疑問を差しはさむ余地なんてない。
香月グループにとっても、森乃やを仲介役に置くことで、【KAGETSU】の九州でのホテル展開を円滑に拡大できるとするなら、無駄な投資にはならないだろう。
荒尾が言った通り、【森乃や】は地元の名士や観光業界、商工会など、様々なところに顔が利く。福岡のみならず、その隣の山口と九州全域にかなり太いパイプを持っていることは確かだ。