愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
[2]
雨が降っているせいで日没前なのに外はもう暗い。
傘を差し足元に気をつけながら小道を進み、わたしが向かったのは庭の端――温室だった。
三角屋根のついた入り口。ガラス張りになっているドアを開けて中に入る。
屋根も壁もガラス張りのこの温室に灯りはない。
少し前に祥さんが『電灯を設置しようか』と言ってくれたのだけど、『暗い時間に来ることはないから大丈夫』と断っていた。
せめてセンサーライトだけでもつけてもらえば良かったのかも、というのはあとになってみないと分からないことで。
この時のわたしは、ただ大好きなハーブに慰められたい一心だった。
後ろ手にドアを閉めて、薄暗い温室の中で足元の鉢植えにつまづかないよう気をつけながら、通路を数歩進んだその時。
ゴトンッ―――
奥から大きな音が。
肩がビクリと跳ねて、口から「きゃっ」と小さな悲鳴が漏れた。
自分の他に誰もいない温室で、するはずのない物音。
何かのはずみで鉢植えが倒れただけだと思うのに、確かめるのが怖くて足を踏み出せない。
嫌な感じがして、温室からこのまま出ようかと考えた時、温室の奥でゆらりと黒い影が立ち上がった。
込み上げた悲鳴をどうにか喉の奥で止めた。
代わりにわたしの口からこぼれたのは―――。
「あ…らお…さん……」
薄暗い温室の奥に、見覚えのある顔があった。
雨が降っているせいで日没前なのに外はもう暗い。
傘を差し足元に気をつけながら小道を進み、わたしが向かったのは庭の端――温室だった。
三角屋根のついた入り口。ガラス張りになっているドアを開けて中に入る。
屋根も壁もガラス張りのこの温室に灯りはない。
少し前に祥さんが『電灯を設置しようか』と言ってくれたのだけど、『暗い時間に来ることはないから大丈夫』と断っていた。
せめてセンサーライトだけでもつけてもらえば良かったのかも、というのはあとになってみないと分からないことで。
この時のわたしは、ただ大好きなハーブに慰められたい一心だった。
後ろ手にドアを閉めて、薄暗い温室の中で足元の鉢植えにつまづかないよう気をつけながら、通路を数歩進んだその時。
ゴトンッ―――
奥から大きな音が。
肩がビクリと跳ねて、口から「きゃっ」と小さな悲鳴が漏れた。
自分の他に誰もいない温室で、するはずのない物音。
何かのはずみで鉢植えが倒れただけだと思うのに、確かめるのが怖くて足を踏み出せない。
嫌な感じがして、温室からこのまま出ようかと考えた時、温室の奥でゆらりと黒い影が立ち上がった。
込み上げた悲鳴をどうにか喉の奥で止めた。
代わりにわたしの口からこぼれたのは―――。
「あ…らお…さん……」
薄暗い温室の奥に、見覚えのある顔があった。