愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「な、んで…ここに……」

セキュリティ設備の整ったこの家には、門のところの呼び鈴にモニターカメラがあるから、誰が来たのかモニターで確認してからしか解錠しない。門の上に監視カメラもついているため、少しでも不審な人物がいれば警備会社に通報することも出来る。

不審な呼び鈴なんて一度も鳴らなかったはずなのにどうして―――と戸惑っていると。

「さすが香月グループトップのご自宅。門構えもご立派なうえに防犯設備も十分な家ですね。ですが、朝からずっと張り込んでいた甲斐がありました。塀の横に停められた車から出てきたおばさんが、門を開けっぱなしにしてくれて助かりましたよ」

「あっ…!」

井上さんが忘れ物を取りに戻った時のことだとすぐにピンと来た。

「どうして……」

「それ何に対しての質問でしょう?どうしてここにいるか?それとも、どうして森乃やから姿をくらませたか、でしょうか」

「っ、」

「その反応。やっぱりお嬢さんはご存じだったんですね」

「な…にを……」

話しながら少しずつこちらに近付いてくる荒尾に、無意識に足がじりりと後ずさる。

「香月社長か女将さんから聞いているんでしょう?俺が森乃やの帳簿や経理データと一緒に姿をくらましたってことを」

「……なんで……なんでそんなことを……」

「なんでって?白々しい質問はやめていただけますかね。俺が森乃やの金を一千万使い込んだってことをご存じのクセに」

「いっ、せん…まんっ!?」

「あ、金額まではご存じなかったんですか」

思っていたよりも大きな金額に驚いた。母は具体的な金額のことまで言わなかったのだ。
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