愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「……な、…ずな、寿々那」
「え、あ、はいっ…!」
「どうした、ぼんやりして……顔も赤いし、もしかして……」
わたしは慌てて首をぶんぶんと左右に振った。
「ち、ちがうんです…!あのっ、別にゆうべのことを考えていたわけじゃっ、」
言い終わらぬうちに額に大きな手のひらをペタリと当てられる。祥さんは「熱はないようだな」と呟いた。
なぁんだ、熱があるかを心配してくれただけか、とホッと胸を撫でおろしかけたけれど。
「昨夜の寿々那は史上最強に可愛かった。思い出しただけでまた欲情する」
「よく…っ!」
「あんなにそっとじっくりしたのは初めてだったが、意外と好評だったようで良かったよ」
「好評って……わたしは何もっ…!」
「あんなに感じていたのに、か?」
「~~~っ!」
みるみる顔が赤くなっていくわたしを見て、祥さんが「くくくっ」と笑った。
昨夜、祥さんは驚くほどゆっくりと優しくわたしを抱いた。
素肌に手で触れる時もくちづける時も、すべてが慎重なくらいに優しく丁寧で、まるでなにか神聖なものにでも触れるかのよう。
触れると分かる程度には膨らんで来たお腹にそっとくちづけられた時には、なんだか泣きそうになって、同時に胸の奥にある扉が、ふわりと開いたような気がした。
それからだった。
どこを触れられてもどんなふうにされても、彼の行為すべてに敏感に反応した。ゆっくりと時間をかけて繋がっていく段階でもう、訳が分からないほど感じてしまって、完全にひとつになった時には涙が次々とあふれ出してきた。
すると祥さんが。
『寿々那、無理をしなくていい。もうここでやめようか』
『やめちゃヤっ…!』