愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】

「あの可愛さは反則だろう。おかげで激しくしそうになるのをこらえるのが大変だった……」

意味の分からない不満を口にする祥さんに、またしてもゆうべのことを思い出してしまい、さっきからずっと熱い顔がますます燃えるように熱くなる。

思えばあれが初めてだったのだ、彼に抱かれるのは。好きと自覚してからも、想いが通じ合ってからも。

祥さんのすべての動きは壊れ物を扱うように優しく静かだったけれど、唯一言葉だけは信じられないくらい熱く激しくて。

『感じているな』『可愛い、寿々那』『溢れてきた』『ここが()いのか』『躰は正直だな』『可愛さが凶悪すぎる』『狭くて熱くて溶かされそうだな』『そんなに締めつけるな』『もっと啼け』『最高だ』『ずっとこのまま繋がっていたい』

『愛している』

経験は数えるほどしかないけれど、そんなわたしにもハッキリと分かった。
好きな人に抱かれることが、どれほど幸せなのかってこと。
愛する人に愛されることが、こんなにも自分を強くしてくれるんだってこと。


「あんなに可愛くおねだりされたら、聞かないわけにはいかないな」

「もうっだからおねだりなんてしてな、……あぁっ!」

突然大きな声を上げたわたしを、祥さんが「どうした?」と不思議そうに見つめてくる。

「まだ教えてもらってなかったじゃないですか!」

「ん?」

「何と言って母から証人欄のサインを貰ったのか、ですよ!」

「ああ」

「ああ、じゃないですよ……それを聞きたかったのに……」

なぜか思わぬ方向へと向かい、久々に彼と濃密な触れ合いをしたせいか、わたしはすぐに眠ってしまって、起きたら朝だったのだ。

「頑張ってちゃんと祥さんの条件をクリアーしたのに、結局教えてもらえていないなんて……あんまりです……」

頬を膨らませてじっとりと睨むと、祥さんは軽く目を見張ってからため息まじりに「この仔ダヌキめ……」と呟いた。
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