愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
ドクターからは『胎児の染色体異常から起こる自然流産で、妊娠の一割程度に起こること』と説明を受けた。母体に影響を受けたものではないということも。

けれどわたしは、忙しさにかまけて生理が遅れていることに気付かなかったせいだと自分を責めた。
そんな私のことを祥さんはとても心配し、それ以降“二人目”の話を口にしなくなった。

「あの時も言っただろう、おまえの体が最優先だと。自然に任せて授かればよし、もし授からなくても、幸がいる。おれたちにとって、おまえが元気でいることの方が大事だ」

「でも、幸にもきょうだいをつくってあげたいんです。それに、香月リゾートのこともあります……」

「心配するな。うちの会社には有能な社員たちがたくさんいる。血縁など関係なく社長業を務められるほどにな」

言外に含ませたことは、彼にしっかり伝わったよう。
きっぱりとそう口にした祥さんは、我が子には好きな道を選んで欲しいと言う。何人いてもそれは変わらず、やりたくないことを無理やり押しつけるのは、子どもにも会社にも不幸なことだと。

「もちろんそれは幸も同じだぞ。幸が将来香月を継ぎたいと言えば考えるが、そうじゃなければ、好きなことをすればいいと思う」

「そうですよね……」

祥さんの意見に異論はない。やりたくもないことを一生の枷としてはめられるつらさは、自分が一番よく知っているから。
我が子には、自分の人生を好きなように切り拓いていってほしい。

でも、そういうふうに言うということは、やっぱりわたしが婦人科で不妊の検査をするのは反対なのかも……。

そう考えると気持ちが沈む。これまでも、反対されることが怖くてなかなか言い出せなかったのだ。

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