愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
すると突然二本の長い腕が伸びてきて、肩を引き寄せられた。頬がたくましい胸にぶつかり、背中をギュッと抱きしめられる。

「幸にきょうだいを――というのは俺も同じだ」

彼の言葉に弾かれたように顔を上げる。すぐ真上にある切れ長の瞳が、柔らかく細められている。

「きょうだいというのはなかなかいいものだな。寿々那達を見ていてそう思うよ」

「祥さん……」

ありがとうござます、と続けようとした唇は、彼のもので優しく塞がれた。

重ねるだけの優しい口づけにうっとりとまぶたを下す。

次第に角度を変え、形や柔らかさを確かめるように唇を食まれたり、時には戯れるように啄まれたりしているうち、腰からむずむずと甘い痺れがはい上がってきた。

いとおしむような甘い口づけに(とろ)かされて、全身からゆるゆると力が抜ける。
頼もしい腕に身を預けると、ゆっくりと背中からベッドに横たえられた。

ゆっくりと持ち上げたまぶた。
目に飛び込んできたのは、隠そうともしない情欲をたたえた瞳。
その熱を帯びた瞳に射貫かれるだけで、胸の高鳴りが止まらなくなる。甘く激しく濃密なひとときを期待する。

ぼうっと見惚れていた一瞬の間に、唇にリップ音が落とされる。あまりのすばやさにあっけに取られているわたしを見て、彼はくくっと肩を揺らしてから口を開いた。

「東京に戻ったら、一緒に病院へ行こう。検査が必要だというのなら俺も同じことだ。子どもは寿々那ひとりではつくるものではないのだから」

「……はい」

検査をすることを反対されなかったうえに、彼自身も検査に臨んでくれると言う。
驚いたけれど、すぐに安堵と感動で胸がいっぱいになった。
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