愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
「寿々那が話したかったのはそれだけか?」
「はい」
しっかりとうなずくと、祥さんは満足そうな微笑みを浮かべた。
「じゃあこれからは俺の番だな」
「祥さんの番……あっ!」
彼もなにかわたしに言いたいことがあったのだと、今さらながらに気がついた。
自分のことばかりに精いっぱいで、彼のことに全然気を使えていたかったのだと焦った。
「ごめんなさいっ、わたし、自分のことばかりで――」
「大丈夫。俺の目的はかわいい妻を心行くまでめでることだからな」
「えっ!」
「気がかりを残したままだと、おまえの気がそぞろになるからな。これで心置きなく俺に溺れられるだろう?」
「なっ!」
「今日はもう、なんの用事も邪魔もない。二週間会えなかった分、“俺の番”をしっかりと堪能させてもらうからな」
言うが早いか、噛みつくように唇を塞がれた。さっきまでとは違う、獰猛で容赦のない淫猥なキスだ。
突然与えられた濃厚な口づけに最初は驚いたものの、すぐにわたしも彼の背中に腕を回し、激しい舌使いに応えるように舌を動かす。二週間会えなかったのはこちらも同じだという気持ちを込めて。
着ている浴衣がはだけるのはあっという間。合わせた衿も裾も乱され、帯がかろうじて浴衣を体に留めているけれど、かえってその方がいやらしく感じてしまい恥ずかしくなる。
温泉とお酒と羞恥のせいで燃えるように熱い体を、同じように熱い彼の手がまさぐっていく。
彼は出会った頃と変わらない――いや、それ以上に情熱的な愛でわたしを溶かした。
幾度も高みに昇らされ、時間も場所も曖昧になるほどぐずぐずに蕩かされ。
そうして外が白み始める頃、とうとう意識を手離すように眠りの底に沈んだのだった。