編集後記
鈴木先輩、鈴木孔とは彼のアパートで会っていた。
いつも、孔の話は面白かった。
題材はほぼ同じ、彼が読んだ本の批評である。
読んだ本のタイトル、五角形の線グラフには孔独自の解釈がなされた項目が並び、総評も書き加えてある。
それをもとに、孔自身の解釈も加えて講釈するのだ。
本のジャンルも、沢山読んでいるはずだが渓に合わせてくれているのか、すんなり理解共感する事ができた。
そして、ある日の講釈。
今、思い返してみると失踪した、と舞衣が語る日の2日前、今日から4日前の事になる。
その日は、アパートで会った瞬間から孔の顔色は悪く、どうかしたのですか?の問いかけにも、何でもないの一点張りで、話をすれば判るだろうとだけ告げた。
そうして切り出した話の内容は、件の本の事である。
覇王の書
どこで見たのだとか、どこにあったのかとかいう話は一切せずに、本題に入ったのだ。
すでに孔の額には脂汗が浮いていた。
テーブルで向かい合った孔だが、組んだ両手をテーブルの上に投げ出し、その上にある顔は蒼白で眼は虚ろだった。そして最初の言葉。
「見てはいけないものを見た」
いつも、孔の話は面白かった。
題材はほぼ同じ、彼が読んだ本の批評である。
読んだ本のタイトル、五角形の線グラフには孔独自の解釈がなされた項目が並び、総評も書き加えてある。
それをもとに、孔自身の解釈も加えて講釈するのだ。
本のジャンルも、沢山読んでいるはずだが渓に合わせてくれているのか、すんなり理解共感する事ができた。
そして、ある日の講釈。
今、思い返してみると失踪した、と舞衣が語る日の2日前、今日から4日前の事になる。
その日は、アパートで会った瞬間から孔の顔色は悪く、どうかしたのですか?の問いかけにも、何でもないの一点張りで、話をすれば判るだろうとだけ告げた。
そうして切り出した話の内容は、件の本の事である。
覇王の書
どこで見たのだとか、どこにあったのかとかいう話は一切せずに、本題に入ったのだ。
すでに孔の額には脂汗が浮いていた。
テーブルで向かい合った孔だが、組んだ両手をテーブルの上に投げ出し、その上にある顔は蒼白で眼は虚ろだった。そして最初の言葉。
「見てはいけないものを見た」