再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
ニコニコと笑う奥様の横でブツブツと文句を言う副院長だけど、そんなに怒っているようには見えない。
ただ少し寂しそうに、私を見ている。
「環のこと、大切にします」
はっきりと宣言する新太。
「そうしてくれ」
副院長の表情もやっと緩んだ。
私の両親は十年も前に死んでしまって、今はお墓の中で眠っている。
だから子供の頃の記憶しかないけれど、優しくて怒ると怖いごくごく普通の両親だった。もし今生きていて、新太を見たらどんな顔をするだろう。喜んでくれるのかなあ。一人っ子の私を溺愛していたから、副院長のように機嫌が悪くなったりするのかもしれないな。
「ただし」
新太の方を見ながら副院長の真剣な表情。
何を言われるんだろうと、私も息をのんだ。
「環ちゃんはこの家から嫁に出すから、それまでは家にいさせてくれ」
頼むよと副院長が頭を下げた。
「わかりました。色々準備もあるでしょうから、一年後くらいに環をいただきます。それまでは環のことをお願いします」
新太も頭を下げる。
私はきっと、ものすごく幸せな人間だ。
こんなにも自分を愛してくれる人がいて、愛する人がいる。
人から見れば不幸続きの不運な人生に思われるかもしれないけれど、私は幸せなんだと今なら言える。
「ありがとうございます」
幸せになります。
溢れそうな涙を必死にこらえて、私は深く頭を垂れた。
fin
ただ少し寂しそうに、私を見ている。
「環のこと、大切にします」
はっきりと宣言する新太。
「そうしてくれ」
副院長の表情もやっと緩んだ。
私の両親は十年も前に死んでしまって、今はお墓の中で眠っている。
だから子供の頃の記憶しかないけれど、優しくて怒ると怖いごくごく普通の両親だった。もし今生きていて、新太を見たらどんな顔をするだろう。喜んでくれるのかなあ。一人っ子の私を溺愛していたから、副院長のように機嫌が悪くなったりするのかもしれないな。
「ただし」
新太の方を見ながら副院長の真剣な表情。
何を言われるんだろうと、私も息をのんだ。
「環ちゃんはこの家から嫁に出すから、それまでは家にいさせてくれ」
頼むよと副院長が頭を下げた。
「わかりました。色々準備もあるでしょうから、一年後くらいに環をいただきます。それまでは環のことをお願いします」
新太も頭を下げる。
私はきっと、ものすごく幸せな人間だ。
こんなにも自分を愛してくれる人がいて、愛する人がいる。
人から見れば不幸続きの不運な人生に思われるかもしれないけれど、私は幸せなんだと今なら言える。
「ありがとうございます」
幸せになります。
溢れそうな涙を必死にこらえて、私は深く頭を垂れた。
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