再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
食堂から更衣室まで走り、ロッカーの前で座り込む。

どうしよう、再会してしまった。
もう二度と会わないと思っていたのに・・・

脱ぎ捨てた白衣に残るケチャップのしみ。
いい年をして恥ずかしいなと思う気持ちが、あの頃の幼稚な自分を思い出させる。

しっかりしなくちゃ。
もう学生でも、研修医でもない。
大人としてちゃんとしないといけないのに・・・

気が付くと涙が頬を伝っていた。
いくら止めようとしても止まらない涙の理由はわからない。
うれしい涙でも、悲しい涙でもないはずなのに流れ続ける涙。

ブブブ。
ポケットのPHSが震えた。

あ、外来からだ。

「すみません、あと10分でいきます」

師長に返事をして、私は涙をぬぐった。

とにかく今は仕事をしよう。
私を待ってくれている患者さんがいるんだから、泣いているわけにはいかない。

スゥー、ハァー。
何度か深呼吸をして気持ちを落ち着けると、私は外来に向かった。
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