再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
月水金。週に3日が皆川先生の勤務日。
月金は内視鏡で、水曜は外来の担当。入院患者を受け持つことはないから病棟で顔を合わせることはない。

「和田先生、最近病棟によくいますね」
何気なく言う塙くんの言葉。

「そお?たまたまだよ」
とは言ったものの、きっと無意識に逃げているんだ。

いくら逃げても、同じ病院で働いていればまったくかかわらないなんてできないのに・・・子供じみた抵抗。

「そういえば週末の歓迎会。行きますよね?」
「え、私は当直だから行かないよ」

もう5月も終わろうって時期に行われる消化器科の歓迎会。
春からの研修医や異動で来た先生たちの歓迎と銘打った飲み会。
当然私も出席するべきなんだけれど、こっそり当直を入れて欠席にした。

「当直は上田先生に頼んだって、部長が言ってましたよ」
「嘘」

「本当ですって」
塙くんが取り出した最新のシフト表。

本当だ、私の当直が外されている。

「今年は高級寿司店らしいですから、一緒に行きましょう」
「一緒にって・・・」

この子は本質的に無邪気なのか、それともあざといのか、時々わからなくなる。
綺麗な顔をしているし、医者だし、黙っていればかなりもてると思うけれど、なぜ私に懐くのかが不思議だ。

「先生って、飲みます?」
「飲まない、と思う」

すでに行く前提なのが癪に障るけれど、聞かれたから答えてしまった。

「じゃあ乗せて行ってください。先生、車ですよね?」
「うん」
「よかった、俺バイクなんですよ」
「ふーん」
って、いつの間にか一緒に行くことになっているし。

唖然とする私をよそに、塙くんは一人納得して仕事に戻っていった。
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