外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「これ……」
「最後まで候補に残っていたもの。玉置さんも、美鈴はこのカメラがいいだろうって」
確かに、一番欲しいと思ったものに違いない。
だけど、この間〝これがいい〟と主張を躊躇したのは、誕生日プレゼントなどでもらうような金額のものではないからだ。
「晶さん、こんな高価なものはやっぱり私……」
「値段ではなくて、美鈴が欲しいものを贈りたいと思ったから受け取ってほしい。それに、妻への贈り物なんだ。そんな他人行儀な遠慮はいらないだろ」
そう言われてしまうと、それ以上の遠慮をしては逆に悪い気がしてきて、じっとカメラの入る手元の箱を見つめる。
顔を上げ、私を見つめる晶さんに目を合わせた。
「ありがとうございます。大切にしますね」
私からの返事を聞いた晶さんは柔和な笑みを見せ、「ああ」と満足そうに頷く。